糖尿病(在宅自己注射)のくすり |
指導/住田 崇 小川赤十字病院 内科副部長 |
■ 病気に関する基礎知識 |
糖尿病とは、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌不足や効きが悪かったりすることで、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまっている病気です。 長い間、血糖が高い状態が続くと血管が傷つき、心臓病や脳卒中、足の切断、失明、人工透析、がんや認知症などになりやすくなります。また、血糖が高いことで意識障害の原因になることもあります。このように糖尿病が原因で起こる病気(合併症)を防ぐために、良好な血糖コントロールが必要です。 |
■ 治療に関する薬の解説 |
GLP-1とは食後の小腸から分泌されるインクレチンというホルモンのひとつで、空腹時には働かず、食後の血糖の高い時にだけ膵臓(すいぞう)でインスリンを作らせ血糖を下げます。そのため低血糖は起こしにくいです。デュラグルチドはこのGLP-1を薬にしたもので、GLP-1受容体作動薬と呼ばれます。1週間に1回だけ、お腹に注射して使います。インスリンではありません。 GLP-1は血糖値を下げる以外に消化管の運動抑制や食欲抑制などの効果があり、体重減少が期待できます。GLP-1受容体作動薬を使用した研究では、心血管疾患の発症を抑止した結果が出ています。 主な副作用としては吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状が現れることがあります。他の血糖を下げる薬と一緒に用いると低血糖になる可能性もあります。 |
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■ 生活における留意点 |
残念ながら現代の医学では糖尿病は治せません。血糖値を正常に近くさせ、合併症を起こさないことが大切です。健康な人と変わらない生活や寿命を送るために、食事・運動・薬物療法をバランスよく実行し、上手に糖尿病と付き合っていきましょう。 |
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